北海道で次世代半導体の工場誘致が大きなニュースとなっていますが、その裏側で「世界から最も必要とされている日本企業」があることをご存知でしょうか。
その名はレーザーテック。特定の検査装置で世界シェア100%を誇り、この会社の機械がなければ最新のスマートフォンもAIも作れないとまで言われています。
なぜこれほどまでに注目されているのか、わかりやすく、その「すごさ」を徹底解説します。
レーザーテックが「世界一」と言われる理由はたった1つの機械にあります

北海道で次世代半導体の工場建設が進む中、多くの人が「半導体とは何か」という疑問をもつようになりました。
実はその巨大な産業を足元から支えているのが、神奈川県に本社を置くレーザーテックという企業です。特定の分野で世界シェアの100%を占めるという、驚異的な実績を誇っています。
なぜそれほどまでに重要視されているのか、その理由は世界で唯一製造に成功した特別な装置に隠されています。
結論:世界でレーザーテックにしか作れない「検査機」があるから
レーザーテックが圧倒的な地位を築いている最大の理由は、EUV(極端紫外線)露光用マスク欠陥検査装置という機械を世界で唯一製造しているためです。いわば「超高性能な顕微鏡がついた検品機」です。最新の半導体を作るには、極めて細かい回路図を描く必要があります。
その回路図の原版となる「フォトマスク」に、髪の毛の太さの数千分の一という微細な傷やゴミがないかを調べるのがこの装置の役割です。この作業ができる機械を実用化しているのは、現時点で世界中でレーザーテックという企業1社だけとされています。
スマホやパソコンの進化を裏側で支える唯一無二の存在
現代のスマートフォンやパソコンが年々薄く、かつ高性能になるのは、半導体の回路がどんどん細かくなっているからです。回路を細かく描くほど、1枚のチップに詰め込める情報量が増え、計算速度が向上します。
しかし、回路が細かくなればなるほど、わずかな汚れが致命的な故障に繋がります。レーザーテックの装置は、他の企業が手を出せなかった極めて難しい光の波長を使い、目に見えないレベルの不備を見つけ出します。
この「影の立役者」がいなければ、私たちが手にする最新デバイスの進化は止まってしまうといっても過言ではありません。
世界中の半導体メーカーが順番待ちをするほどの技術力
最先端の半導体を製造できるメーカーは、世界でも数社に限られています。
それらすべての企業が、レーザーテックの検査装置を喉から手が出るほど欲しがっています。装置の価格についての記載はありませんが、2025年9月の業績報告によれば受注高が1,000億円超となっていることから非常に高額であることがわかりまん。それでも注文が絶えません。
なぜなら、この装置を使わなければ、最先端のチップを効率よく大量生産することが物理的に不可能だからです。北海道の新工場をはじめ、世界中で新しい工場が建つたびに、まずはこの「世界でここだけ」の機械を確保するための順番待ちが発生します。
そもそもレーザーテックが作っている「検査機」とは何?
検査機と聞くと、ベルトコンベアの上を流れる製品を眺める姿をイメージするかもしれません。しかし、レーザーテックが作っているのは、原子レベルの世界を監視する装置です。
半導体製造は「光で絵を描く」プロセスですが、その絵が少しでもにじんだり、汚れがついたりすれば、そのチップはゴミになってしまいます。同社の装置は、製造の初期段階でそのミスを完璧に突き止める役割を担っています。
目に見えないほど小さな回路の「キズ」を見つける魔法の目
フォトマスク欠陥検査装置は、例えるなら「巨大なビルの設計図に付いた、1粒の砂埃を見つける目」のようなものです。半導体の設計図は、実際には手のひらサイズほどの板に描かれますが、そこには数km分にも及ぶ回路が凝縮されています。
レーザーテックの装置は、特殊なレーザー光を照射して、その反射から異常を検知します。肉眼では絶対に見ることのできないナノ単位(1mmの100万分の1)のキズを瞬時に発見する技術は、まさに現代科学の結晶といえる「魔法の目」そのものです。
100点満点以外は許されない厳しいチップ作りの世界
半導体の製造現場は、わずかな妥協も許されない世界です。
1枚の大きな基板から数百個のチップを切り出しますが、1箇所でも欠陥があればそのチップは使い物になりません。特に最新の5ナノや3ナノといった超微細な世代では、ゴミ1つで数万円のチップが即座に廃棄対象となります。
レーザーテックの装置は、製造が本格的に始まる前に原版の不備を取り除くことで、工場の歩留まり(良品が取れる割合)を劇的に向上させます。この「100点満点」を維持するための門番として、同社の技術は機能しています。
わずかなゴミも見逃さない驚きの精度
同社の検査精度を日常的なものに例えると、「東京から大阪までの広大なエリアで、1円玉大の汚れを見つける」ような精度に匹敵します。半導体の世界におけるゴミとは、私たちが普段「きれいだ」と感じている空気中に漂うチリよりも遥かに小さいものです。
そのため、検査装置自体も手術室よりも1000倍以上清潔な「クリーンルーム」という環境で作られます。極限まで研ぎ澄まされたセンサーと、それを制御するソフトウェアが組み合わさることで、他社の追随を許さない圧倒的な検出能力を実現しているのです。
なぜ他の会社はレーザーテックの真似ができないのか
多くの巨大企業が半導体市場に参入していますが、レーザーテックと同じ装置を作れる会社は現れていません。それは、この分野が「数学的な正解」を知っていれば作れるという単純なものではないからです。
長年の経験に基づく職人技のような調整と、物理学の限界に挑むような設計思想が必要とされます。
何十年も積み重ねてきた「光」を操る独自のノウハウ
レーザーテックは1960年の創業以来、一貫して光を使った計測技術を磨いてきました。光をどのように当て、どのように跳ね返ってきたら「キズ」だと判断するのか、というデータが膨大に蓄積されています。
このノウハウは、教科書を読んだだけで身につくものではありません。試行錯誤を繰り返して得られた「光を操る技術」は、他社が数年で追いつけるようなレベルではなく、数十年にわたる歴史の積み重ねそのものが強力な参入障壁となっています。
誰も挑戦しなかった難しい分野でコツコツ努力を続けた歴史
かつて、EUVという新しい光の波長を使った検査は、あまりにも技術的難易度が高く、採算が合わないと考えられていました。多くの競合他社が開発を断念したり、後回しにしたりする中で、レーザーテックは「いつか必ず必要になる技術だ」と信じて投資を続けました。
まだ誰も注目していない時期からコツコツと研究を重ねた結果、世界がその技術を必要としたタイミングで、世界唯一の供給者として表舞台に立つことになったのです。この先見明瞭と粘り強さが、現在の独占状態を生みました。
世界中の天才エンジニアたちが認める技術の壁
同社の製品には、光学、精密機械、ソフトウェア、電気工学など、あらゆる分野の最高峰の技術が詰め込まれています。世界中の大手半導体メーカーには天才と呼ばれる技術者が集まっていますが、その彼らですら「レーザーテックの代わりはいない」と認めています。
単に機械を組み立てるだけでなく、設置した後の微調整やメンテナンスを含めた総合的なサポート力が、顧客からの深い信頼に繋がっています。この信頼関係こそが、数字には表れないもう一つの高い「壁」となっています。
私たちの生活とレーザーテックの意外なつながり
普段、私たちが「レーザーテック」という社名を意識することはありませんが、その恩恵は日常のあらゆる場面に浸透しています。
朝起きてスマートフォンをチェックし、仕事でパソコンを使い、帰宅して動画を楽しむ。こうした当たり前の生活の質を支えているのは、同社の検査機を通過して生まれた高品質な半導体たちです。
最新のスマートフォンがサクサク動くのはこの会社のおかげ
最新のスマートフォンに搭載されているCPU(中央演算処理装置)は、レーザーテックの装置なしでは作ることが極めて困難です。動画を滑らかに再生したり、重いゲームをサクサク動かしたりするための高い処理能力は、微細な回路によって実現されています。
同社の装置がなければ、スマートフォンの進化は数年前の段階で足踏みをしていたかもしれません。私たちがストレスなくデジタルデバイスを使いこなせているのは、日本の技術が陰で支えているおかげなのです。
AI(人工知能)の進化に欠かせない最先端の部品作り
近年、急速に普及しているAI(人工知能)も、膨大なデータを高速で処理するために高性能な半導体を必要とします。AI専用のチップは、通常のチップよりもさらに複雑な構造をしており、欠陥検査の重要性が一層高まっています。
自動翻訳の精度が上がったり、画像生成AIが普及したりする背景には、レーザーテックの装置が保証した「完璧なチップ」が大量に供給されているという事実があります。未来の技術を形にするための基盤を、この企業が担っています。
ゲーム機や自動車の性能もレーザーテックが支えている
リアルなグラフィックを楽しめる最新のゲーム機や、自動ブレーキなどの安全機能を備えたスマートカーにも、多くの半導体が使われています。特に自動車は、万が一の故障が命に関わるため、半導体には極めて高い信頼性が求められます。
レーザーテックの厳しい検査をクリアした技術の流れが、結果として私たちの移動の安全や、余暇の楽しみを守ることにも繋がっています。目に見えない場所で、私たちの安全と快適さを支える重要な役割を果たしています。
これからレーザーテックはどうなっていくの?
半導体産業は「産業のコメ」と呼ばれ、今後も重要性が増し続けるのは間違いありません。それに伴い、検査装置のトップランナーであるレーザーテックへの期待も高まり続けています。
技術の進化に終わりがないように、同社の挑戦もまた、次のステージへと進んでいます。
これからも「世界でここだけ」という強みは変わらない
半導体の回路は、今後さらに細かくなっていくことが予測されています。それに合わせて、検査装置もさらに高い精度が求められます。レーザーテックはすでに次世代、次々世代の技術開発に着手しており、他社が追いつこうとする頃にはさらに先を行く戦略をとっています。
一度築き上げた「唯一無二」のポジションを維持するために、研究開発に莫大な資金を投じ続けており、その優位性は今後も長期間保たれる可能性が高いと考えられています。
より高性能な機械を求める声が世界中から届いている
世界的なデジタル化の波を受け、半導体メーカーは常に「もっと精密な検査」を求めています。これに応えることは簡単ではありませんが、レーザーテックにとっては市場が広がり続けるチャンスでもあります。
環境負荷を減らすための省電力チップなど、新しいニーズも生まれています。世界中から届く「無理難題」を技術で解決していく姿勢が、さらなる成長を後押ししています。
日本が世界に誇れるトップクラスの企業としての期待
日本には多くの優れた製造業がありますが、レーザーテックのように「世界シェア100%」という圧倒的な力をもつ企業は稀です。北海道で半導体の国産化を目指す動きがある中で、このような国内企業の存在は大きな希望となります。
グローバルな競争の中で、日本発の技術が世界のルールを決めているという事実は、将来を担う若い世代にとっても大きな刺激になるはずです。世界中のハイテク産業を動かすハブとして、その存在感はますます高まっていくでしょう。
レーザーテックのすごさを知って日本の技術に注目してみよう
レーザーテックという企業のすごさを紐解くと、それは単に「機械を売っている」のではなく、「世界の未来を保証している」ことに気づきます。北海道で始まった半導体革命も、こうした日本が誇る高い技術力があるからこそ実現可能なプロジェクトです。
最先端の技術も、紐解いてみれば私たちの生活に直結しています。北海道で半導体革命が進む今、こうした知識を知っておくことは、未来を読み解く大きなヒントになるはずです。日本が世界に誇る「魔法の目」をもつ企業の活躍に、これからもぜひ注目してみてください。


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